鹿児島のこども写真館 2023
子どものための写真館の計画。既存建物の特徴である通りに対して斜めに建つ壁を、まちに開き人々を受け入れるきっかけとして考えた。
オレンジ色の衣装室、黄色の小上がりスペース、緑色の棚、白色の外部スペースと、4つの異なる色の背景のシーンを作りたいという施主の要望に対し、斜めの壁に沿う「幕」のような有機的な壁で応えることとした。
有機的な壁は、子どもが寄り添いたくなるやわらかな表情をつくるとともに、衣装室、小上がり、棚、外部ベンチのスペースをつくり出している。また、4つの異なる色のシーンをシームレスに連続させるように短冊状の杉板に色を塗り分けることでグラデーションを形成した。グラデーション色の特徴的な壁はまちまで延び、屋外の既存丸柱にくるっと巻き付いて終わる。
内部から外部まで連続する壁は通り沿いに流れる地域の風を建物内へと導くウインドキャッチとしての役割も果たすことができ、将来外部建具を全開できるような設えとすることを見据え、環境にも配慮した計画とした。壁の平面形状をうねらせることは自立壁としての構造にも寄与している。
現在写真館はレンタルスペースとして地域の方々に貸し出したり、地域のお祭りなどが開かれたりもしている。まちに開き、まちの人々を受け入れる、地域の人々のシーンの背景幕として何気ない日常に彩りを与えてほしいと思う。
内装設計
所在地:鹿児島県鹿児島市
竣工:2023年
用途:写真館
延床面積:90㎡
階数:2階
クライアント:MRU
PM:MEGURI
施工:JKアークプランニング
照明計画:大光電機 TACT福岡 /星野 和博、益田 晃
写真:YASHIRO PHOTO OFFICE